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開業届ってどうやって書く?開業届の書き方について解説します

個人事業主として、フリーランスとしてこれから活動するなら、いわば自分の事業の出生届にも当たる「開業届」を出しておくが第一歩と言えます。

ここではこれから個人事業やフリーランスとして働こうと思っておられる方、今現在個人事業やフリーランスをやっていてそろそろ開業届を出さないとと思っておられる方に向けて、開業届の書き方について解説していきます。

「開業届」の書き方

ここでは美容室を始めることを想定して開業届の記入例を作りました。

では「開業届」の例を上から順番に見ていきます。下記を参考に、あなたの事業に合わせて記入してください。

上段

開業届

①:まずは提出先の税務署の名前を書きます。
住所地以外の税務署では別途届出書が必要になるので、特別な事業がない限りは住所地を管轄する税務署にしておきましょう。

税務署一覧
https://www.nta.go.jp/about/organization/access/chizu.htm

②:提出日を書きます。提出日が未定なら後から手書きでも構いません。

③:納税地と電話番号を書きます。
繰り返しになりますが、住所地以外なら別途届出書が必要になるので「住所地」を選び、現在の住所と電話番号を書くことをお勧めします。

④氏名と生年月日を書きます。

⑤12ケタの個人番号(マイナンバー)を書きます。
ネットで作成する場合、自動的に「控用」にも転記されます。しかし「控用」には個人番号は記述しなくて構わないので、転記されません。

⑥職業と屋号を書きます。
職業名はこれから始めようとする職業名、業種等、何でも構いません。この例では「美容師」としましたが、「美容院経営」とか「美容業」というような感じでも構いません。

一般的にこの職業名は「個人事業税に関わってくる」と言われますが、この後に詳しい事業内容を書くところがあるので、特に気にしなくても構わないです。

ちなみに私は『自営』という何ともざっくりした職業名にしました(でも何にも言われませんでした)。

また屋号ですが、屋号がない場合は空白で構いません。

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中段

では今度は中央部分の例を見ていきます。

開業届

⑦:開業時は「開業」を選択します。その下の「住所」と「氏名」は引継ぎを受けた場合(事業承継)のみですので空白で構いません。

⑧:所得の種類を選択します。ここでの例である美容院は「不動産」「山林」以外なので「事業所得」になります。

⑨:開業日を書きます。

⑩:「青色申告承認申請書 / 青色申告の取りやめ届出書」と「課税事業者選択届出書 / 事業廃止届出書」を同時に出すのかどうかを選択します。

事業を始める場合は、帳簿作成の手間暇がかかりますが「青色申告承認申請書」を出しておいた方が何かと優遇が受けられます。

ここは一緒に提出することを想定して「有」にしています。提出は義務ではありませんので「無」でも構いません。

消費税は開業から2年間は免税業者扱いになるのでここでは「無」にしています。初年度から消費税を払うつもりでしたら「有」にしておいても構いません。

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下段

では残りの部分を見ていきます。

開業届

⑪:事業の内容を詳しく書きます。
ここでは美容室を想定しているので、「美容室の運営。カット、カラーリング、パーマ等の施術」としました。

「美容室の運営」だけでも十分伝わるかと思います。

⑫:従業員の有無と給与・源泉徴収に関するところになります。

「専従者」というのは、家族を従業員として雇う場合で、家族以外の人を雇う場合は「使用人」になります。

「給与の定め方」では、月給/日給/週給/時給などにしておきます。ここでは「月給」にしました。

「税額の有無」というのは、所得税の源泉徴収をするかどうかを記します。「有」の場合は源泉徴収をするという意味で、「無」が源泉徴収しない場合です。

月額88000円未満なら源泉徴収は必要ありませんが、88000円以上なら源泉徴収が必要になります。

⑬:通常、源泉徴収をする場合は毎月徴収した所得税を納めないと支払わないといけません。ただその場合だと事務作業が煩雑になりかなり面倒になります。

そこで「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出しておくと、月1回から年2回(1月~6月分と7月~12月分)にまとめて納付することができます。

年2回にする場合はここを「有」にして、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出するようにしましょう。

⑭こちらは税理士に依頼した場合のみに書きます。
ただ、開業届に税理士への関与は必須ではありませんので、特に税理士に依頼していないのなら空白でも構いません。

以上が開業届の書き方になります。

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「開業届」の疑問

開業届に関する疑問についてまとめました。

「開業届」はどこに出す?

開業届は、住所地(事業者が住んでいるところ)あるいは事業所地(事務所や店舗の所在地)を管轄する税務署に提出します。
※海外在住で日本に仮住まいしている場合はそこを管轄するところ(居所地)に提出します

管轄する税務署がどこなのかは下記から調べることができます。
https://www.nta.go.jp/about/organization/access/chizu.htm

事業所地に提出する場合は別途届出書が必要になるので注意しましょう

「開業届」はどこで手に入る?

開業届は直接税務署で入手することができますが、国税庁のウェブサイトからダウンロードできます。
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/04.htm

ページ内の「申請書様式・記載要領」にある『個人事業の開業・廃業等届出書 (提出用・控え用)』のところをクリックするとダウンロードできます。

個人事業の開業・廃業等届出書

「開業届」を出すメリットは?

開業届は、開業から1か月以内に出しておくことが義務になっていますが、提出していなくても特に罰則はありませんし、出していなくても確定申告もできます。

しかし開業届を出すことでいくつかメリットがありますので紹介します。

メリット1:青色申告が受けられる

開業届を出しておくと「青色申告」が受けられます。

青色申告というのは、より節税効果の高い確定申告のことです。

ただし、青色申告では取引を複式簿記という決まった方法で記録しておかないといけません。

メリット2:屋号付きの銀行口座が開設できる

個人事業を行うにあたって、ほとんどの方は銀行口座を利用することになると思います。

個人事業であれば別に個人名義の口座でも使用可能ですが、”社会的信用”という点から言うとやはり「屋号付きの銀行口座」があった方が良いです。

屋号付きの銀行口座は基本的にどこの銀行でも作れますが、その時に求められるのが「開業届の控え(受領印付きのもの)」です。

ですので、「屋号付きの銀行口座」が欲しい場合は開業届を提出しておきましょう(必ず「控用」をなくさず持っておきましょう)。

「屋号付きの銀行口座」は屋号のみの名義ではなく、最近ではほとんど「屋号 + 個人名 (例えば「サロンボチボチ オキナリョウタロウ」)」になります

メリット3:電子決済を導入できる

今では”キャッシュレス決済”が盛んになっていますので、事業によってはクレジットカードや電子マネーでの支払いにも対応しておく必要が出てきます。

こういった電子決済を導入する場合も開業届の控えを求められることが多々ありますので、開業届を出しておくことをお勧めします。

以上、開業届の書き方や出し方、開業届を出すメリットについてみてきました。

こちらのページが参考になりましたら幸いです!

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