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【FP技能士解説】「医療保険はいらない」と判断する前に知っておくべき5つのこと

「医療保険はいらない」と判断する前に知っておくべき5つのこと
悩む人

医療保険はいらないってよく聞くので入っていません。

本当にいらないんですか?

悩む人

保険の見直しをしてもらったら医療保険はなくても大丈夫って言われました。

本当に解約してしまっても大丈夫ですか?

こんなお悩みの方のためにこの記事を作成しました。

本記事の要旨
  • 医療保険に入るなら早めに
  • 健康保険だけでも大丈夫は運次第
  • それでも最期は病院で迎える人が多数派
  • 保険の見直しは慎重に
自己紹介

医療保険はいるのか、いらないのか?、保険に携わるプロの方でもこの論争が絶えません。

本記事ではFP(ファイナンシャル・プランニング)技能士の観点から、医療保険はいらないと決断する前にぜひ知っておいていただきたいことについて、5つにまとめて見ていきます。

今現在医療保険に加入していて、解約すべきかどうか決めかねている方にも参考になる部分があるかもしれません

よつぐ

1:医療保険は誰でも入れるわけではない

医療保険は申し込めば簡単に入れるものだというイメージがあるかもしれませんが、残念ながらそうではありません。

保険会社にとっては契約者が今後何回入院や手術をするのかわからないので、極力リスクの高い人(高そうな人)は避ける傾向があります。

つまり医療保険は健康な時にしか入れません

そういったことから、「医療保険はいらない」と思っていたけどやっぱり入ろうかなとなった場合、その時の健康状態によっては申し込みを断られてしまう場合があります

ですので、本当に今後医療保険がなくても大丈夫か、いざ医療保険に入ろうと思っても入れない状況になっても大丈夫か、しっかり検討しておくことが望ましいです。

今では「持病があっても大丈夫」系の保険(引受緩和型保険)もありますが、そういった保険はあえてリスクの高い人を引き受けるわけなので保険料も通常より高くなります

よつぐ

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2:健康保険だけでも本当に大丈夫?

医療保険いらない派の方の、いらない理由としてよく挙げるのが次のようなものです。

  • 入院しても健康保険があれば実際には1~3割の負担で済む
  • たとえ高額になっても「高額療養費制度」があるから大丈夫
  • 最近は入院日数が減っているので実際にはそんなにかからない。30万くらい貯金があれば大丈夫。
  • 病気で働けなくなっても健康保険の「傷病手当金」があるから大丈夫

これらの理由は本当にその通りで、病気をしたり入院するとなったからと言ってすぐにお金が尽きるということはないと思います。

ただよくよく考えて欲しいのは、病気(入院)は何も1回で済むとは限りません

例えばがんの場合、転移してその度に再入院・再手術となることもありますし、最近では心不全で入退院を繰り返す方も増えているようです。

1回目は30万円で済んだとしても、その回数が重なっていくとやはり経済的に厳しくなってくるのではないでしょうか?

また、Covid-19(新型コロナウィルス)で実際に見てきたように、今後未知の感染症にかかり、有効な治療法が見つからず長期入院しなければならないということも起こりえます。

ちなみに、僕の父親は腎がん(腎臓がん)に始まって、肺 → 脳 → 再び脳 → 肝臓へと転移していき、その度に手術や入院をしました。

がん治療中に肺炎を患った時は2か月以上入院することがありましたが、父親が医療保険に入ってくれていて本当に助かりました。

もちろん、結果的に健康保険だけで十分だったというご家庭もあると思うので、こればっかりは運次第というしかありませんが・・・

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3:女性の方が医療保険の恩恵を受けるかも?

もしかすると、男性より女性の方が医療保険の恩恵を受けることが多くなるかもしれません。

なぜなら、女性には子宮がんや卵巣がんなど女性特有の病気が多くあるからです。
※もちろん男性特有の病気もありますが数としては少ない

また、女性特有ではないものの、甲状腺の病気や乳がんなど女性に多くみられる病気もあります。

そういったことから、女性は特に医療保険について検討されることをおすすめします。

ちなみに、妊娠は病気ではないので出産による入院は医療保険の対象外ですが、妊娠に伴う悪阻(つわり)、高血圧、糖尿病で入院となった場合や、異常分娩(帝王切開や切迫早産など)は医療保険の対象になることが多いです。

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4:保険料は払い続けなくても良い場合がある

医療保険(特に終身型)は保険期間中は保険料を払い続けなければならないと思っておられる方がいらっしゃるかもしれませんが、すべてがそうだとは限りません。

医療保険によっては保険料の支払い期間を選択でき、「〇歳払済」というものがあります。

たとえば「60歳払済」というものなら、60歳まで保険料を支払うと、それ以後の保険料は支払うことなく医療保険を受け続けられます。

もちろん一生涯支払い続けるものより短期間で払い込まなければならないので、月々の掛け金は多くなります。

ただ、現役世代にあらかじめ準備しておくことで、老後の出費は少なくできます。

また、特定の病気(がんなど)にかかるとそれ以後の保険金は払わなくても構わないという特約がある医療保険もあります。

特約
引用:SOMPOひまわり生命「健康のお守り」での場合

こういった「〇歳払済」や「医療費免除特約」も検討してみると、総額で考えた場合保険料が少なくなる場合もありえます。

「〇歳払済」のものは年齢が若い時ほど月額が安くなりますし、年齢を重ねると病気をして保険に入れない不安もあるので、入るなら早めがおすすめです

よつぐ

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5:それでも「最期は病院」が多い

亡くなる場所の統計データがあります。

2019年の段階ですが、病院が「71.3%」、自宅が「13.6%」、老人ホームが「8.6%」などとなっています。

死亡した場所別の死亡者数の推移
出典:国土交通省:死因別統計データ

データからもわかる通り、ここ10年では自宅で最期を迎える方が増えてきているようですが、それでもやはり病院で亡くなる方(病死)が圧倒的に多いです。

医療保険に入らず貯金で対処するという方法もありますが、残された家族がいる場合、目減りしていく貯金のことを考えていきながら最期を迎えるというのはつらいかもしれません・・・

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さいごに:安易な“見直し”にはご用心

プロの方に保険の見直しをしてもらうと、「医療保険はいりませんね」と言われるかもしれません。

医療保険は年間で考えると相当な出費になるのでインパクトが大きく、見直しの効果が出やすいです。

ただ、重複した保障があるものを削るというのであれば良いですが、全く無くすという場合はそのまま鵜呑みにせず、ご自身の状況に応じてじっくり考えてみることをおすすめします。

それでも「無くす」となった場合の注意点として、医療保険を解約して浮いた分はあくまで将来の医療費に備えて貯金しておかなければなりませんので、自由に使っても良いというわけではありません。
※使う使わないは自由ですが、貯金した方が無難といえます

支払っていた保険料が単に貯金に変わるだけですので、それで急に生活が楽になるということはないでしょう。

また、貯金は言っても「自由に使えるお金」なので、当初医療費用として貯めておいたお金を別の用途で使うことも可能です。

マイカーを買う、マイホームを買う、子供が生まれた、子供が大学に通う、定年退職するなどのライフイベントの中で、「まあちょっとぐらいいいか」が積み重なって、本当に必要なときにもう使ってしまってない!ということも起こりえます・・・

さらに、「1:医療保険は誰でも入れるわけではない」で見たように、解約した後再加入しようと思っても、その時の健康状態によっては再加入ができない可能性もあります。

ですので医療保険を解約するときは慎重に判断しましょう。

以上、こちらの記事が参考になりましたら幸いです。

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