簿記

【第1回目】個人事業主ならこれだけは知っておくべき簿記講座 - 複式簿記の流れをざっくり解説!

 個人事業主になった!フリーランスになった!、でも経理がわからない・・・という方は多いかもしれません。

より節税効果の高い青色申告なら簿記の知識は必須です。

ここでは複式簿記とはどういうものかをできるだけわかりやすく解説していきます。

そして回を進める中で実際に簿記を経験していただき、確定申告も自分でできるようにしていきましょう!

それではスタートです!

「簿記」の基礎知識

ここでは「簿記」についての基礎的な内容について見ていきます。

「簿記」って何?

そもそも「簿記」って何でしょう?

簡単に言うと、日々の「取引」を帳簿に記録 / 記入することです。

帳「簿」に「」録(入)で【簿記】です。
※別にノートや伝票に記入しても簿記ですが・・・

そういう意味では家計簿やお小遣い帳もいわば「簡易的な簿記」と言えます。

そう考えると簿記は全く馴染みのないことというよりは、誰もが経験のあるものと言えます。

「取引」の意味

ちなみに「取引」というと、自分と相手、お金とモノのやり取りというイメージがありますが、簿記ではお金やモノが動くことをひっくるめて”取引”と呼びます

ですので、自分だけで完結するようなもの、お金しか動かないもの、モノしか動かないものも取引とみなされ、それらも残さず記録しておかないといけません。

簿記の目的

ではなぜ簿記が必要なんでしょうか?

それは、個人事業やフリーランスなら事業の儲けを正確に割り出して、正しい額の税金を納めるためと言えます。
※株式会社なら株主への正しい情報を提供するためと言えます

いくら売り上げがあって、そのためにいくら使ったのか?、そういうことを細かく理解せず、どんぶり勘定では本来なら払わなくて良い税金を払ってしまったり、あるいは払うべき税金を払っておらず追徴課税されるということもあり得ます。

ですので、 日々の取引を細かく記録しなければなりません。

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簿記のステップ

日々の取引を細かく記録するにも、日記のようにいちいち文章にして書くのは煩わしいですし、人それぞれの書き方で書いてしまうと他の人が読んでも理解できない可能性がでてきます。

ですので、簡便でなおかつ他の人が見ても理解できる決まった方法で書くことが求められます。

どのように書いていくかというと、次の2つのステップを経て書いていきます。

ステップ1:取引を「原因」と「結果」に分ける

まずは「1つの取引を2つの側面で考える」ということです。

具体的に言うと、次の「原因」と「結果」に分けて考えます

  1. 何をしたか ( 原因 )
  2. それでどうなったか? ( 結果 )

例えば「商品を売ってその代金として10000円を受け取った」という取引の場合・・・

  1. 10000円で商品を売った ( 原因 )
  2. 10000円を受け取った ( 結果 )

という感じです。

では「事業用パソコンを150000円で購入した」という場合では、原因と結果をどのように分けられるでしょうか?

  1. 事業用パソコンを150000円で買った (原因)
  2. パソコン代として1500000円支払った (結果)

となります。

このように、 「1つの取引を2つの側面で考える」 ことは簿記を行う上で必須ともいえることなので、ぜひ意識してみてください。

ステップ2:「原因」と「結果」を左右の枠に振り分ける

取引を「原因」と「結果」に分けることができたら、その原因と結果を次の「借方(かりかた:左側) 」と「貸方(かしかた:右側) 」という枠に振り分けて記していきます。

借 方 (左側)貸 方 (右側)
原因あるいは結果原因あるいは結果

原因と結果が左右どちらに入るかはその取引によって異なります。それについてはまた追々見ていきます。

ちなみに、「借方」と「貸方」という名称に特に意味はありません。

簿記では左側を「借方」、右側を「「貸方」と呼んでいるだけです。

「借」や「貸」という言葉から何となく左がマイナスで、右がプラスというような印象を持ってしまいがちですが、そういう考えはむしろ混乱の基になるので注意してください

このように、原因と結果の二つの側面を貸方と借方に分けて記すことを「複式簿記(ふくしきぼき)」と言います。

簿記と言えば一般的にこの複式簿記を指すのでぜひ身に付けましょう!

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簿記の注意点

簿記を行うにあたって注意点がありますので見ていきましょう。

取引内容は「勘定科目」で書く

取引の原因と結果を振り分ける際、借方と貸方に記す内容もやはり人それぞれの名称で書いてしまうとこちらも混乱の元です。

例えば「お金」が動く取引の場合、人によっては「お金」「金」「オカネ」「銭」「現金」などと、書く名称が変わってしまう可能性があります。

簿記は誰が見てもそれが何のこと(取引)なのかわかるように、統一した名称を使うことが求められます。

その統一した名称のことを「勘定科目(かんじょうかもく)」と言います

先ほどの「お金」なら、「現金 (げんきん)」という勘定科目を使います。言葉を変えると、帳簿上でお金のことを「現金」という名称以外で書いたらダメです

ですので、勘定科目も覚えていかないといけません・・・
※ただ、人によって勘定科目の名称が異なる場合もあるので、そこは臨機応変で構いません

こちらもこれがどういう勘定科目なのかさえわかれば、同じ取引があった場合はそれをそのまま繰り返すだけで良いので、最初は大変かもしれませんが、だんだん慣れてきます!

金額も忘れずに!

勘定科目で取引内容が分かっても、その取引でいくら動いたのか金額が書かれていないと、現状のお金の動きが見えづらく、また集計をする際も大変です。ですので、金額も併せて書いておかなければなりません。

ということで、簿記では最終的には下記のように記します。

借 方 (左側)貸 方 (右側)
【勘定科目】 〇〇円
( 原因あるいは結果 )
【勘定科目】 〇〇円
( 原因あるいは結果 )

このように、1つの取引を貸方と借方に分けて、勘定科目と金額で記していくことを「仕訳」と言います

「簿記=仕訳をすること」と言っても過言ではありませんので、ぜひ本講座で仕訳を身に付けてください!

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最後は申告へ

個人事業主・フリーランスの会計期間は1月1日から12月31日までです。

その会計期間で、取引があるごとにまずは仕訳帳や伝票に仕訳をしていきます。しかし実際にはそれで終わりではありません。

今度は「総勘定元帳(そうかんじょうもとちょう)」という帳簿に勘定科目ごとに転記していかないといけません

「仕訳帳」と「総勘定元帳」は主要簿と呼ばれ、青色申告を受けるなら必須の帳簿になります。

仕訳するだけでも精一杯なのに、それをまた転記するなんて大変!という方も多いはずです。

ですので、ぜひ早い段階から会計ソフトを使うようにしてみましょう

会計ソフトを使えば、1つの仕訳をするだけで自動的に総勘定元帳やその他の帳簿に自動転記してくれます。

目的の帳簿のボタンを押せば、これまでの仕訳がその帳簿の形式に沿った内容で表示されます。
※下図は「やよいの青色申告」の画面

個人事業主・フリーランスであれば本格的な会計ソフトは必要なく、「青色申告」と名前がついてあるソフトで構いません。

価格はだいたい10000円前後になりますが、今後の手間を考えたら必要な出費です。

いまはクラウド上で記録/保存できるソフト(アプリ)も数多くありますので、ぜひ色んなソフトをお試ししていただき、自分にあったものを使いましょう!

それでは次回から実際に仕訳をしていきましょう。まずは事業の基本、売り上げがあった場合の仕訳について見ていきます。

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