今回は仕入れの仕訳について見ていきます。
「仕入れ」は、自分が販売している商品や、商品の原料(加工して販売している場合)を購入することです。
ですので、モノを売らないサービス業では基本的に仕入れをすることはありません。
ただ、ここでの内容は次回見る「経費」にも通じることなので、サービス業の方もぜひ読んでいただければと思います。
新たに学ぶ勘定科目
- 「仕入 (仕入高)」
仕訳の流れ(前回までのおさらい)
今回も、前回と同じ仕訳の流れで見ていきます。
仕訳の流れ
- 取引を「原因」と「結果」に分ける
- 「原因」とその金額を記入する
- 「結果」とその金額を記入する
- 摘要欄に大まかな取引内容を書く
慣れていない間は面倒でもこの流れを意識して仕訳してみてください。
仕入れ時の仕訳をしてみよう:現金での支払い
では実際に仕入れの仕訳をしてみましょう。まずは次のような取引を考えてみます。
取引例
【8/22に原料Aを3500円で仕入れて、その代金を現金で支払った】
この取引例を基に、先ほどの「仕訳の流れ」で仕訳をしていきます。
1:取引を「原因」と「結果」に分ける
今回もこの取引例を「原因」と「結果」に分けてみます。この取引例では次のような感じになりますね。
取引例
【8/22に原料Aを3500円で仕入れて、その代金を現金で支払った】
- (原因:何をして) ⇒原料Aを仕入れた
- (結果:どうなった) ⇒代金(3500円)を現金で支払った
2:「原因」とその金額を記入する
続いて「原因」とその金額を記入します。
まずは「原料を仕入れた」という部分を仕訳帳に書きます。
「仕入れ」を示す勘定科目は 「仕入(しいれ)」になります。 また、この「仕入」は借方(左側)に書きます。
売り上げと仕入れは真逆の行為なので、記入する側も反対になります。
ということで、まずは次のようになります。
日付 | 借 方 | 貸 方 |
8 / 22 | 仕 入 3500円 ( 原因 ) |
|
摘要: |
3:「結果」とその金額を記入する
続いて「結果」の、「現金で支払った」という部分を残りの貸方(右側)に書けばOKということになります。
現金を扱う場合の勘定科目は、受け取りも支払いも同じ「現金」となりますので、貸方(右側)に「現金」を記入します。
ということで次のようになります。
日付 | 借 方 | 貸 方 |
8 / 22 | 仕 入 3500円 ( 原因 ) |
現 金 3500円 ( 結果 ) |
摘要: |
4:摘要欄に大まかな取引内容を書く
最後に「摘要」欄にこの取引の大まかな内容を書いておきます。
ここでは「原料Aの仕入れ」としておきましょう。最終的に次のようになります。
日付 | 借 方 | 貸 方 |
8 / 22 | 仕 入 3500円 ( 原因 ) |
現 金 3500円 ( 結果 ) |
摘要:原料Aの仕入れ |
これでこの取引の仕訳は終了です。
こちらも、仕入れがあった場合は同じ流れで仕訳をすれば良いので反復練習していけば、無意識に仕訳できるようになっていきます。
仕入れ時の仕訳をしてみよう:銀行振込での仕入れ
では今度は銀行振込で代金を支払った場合の仕訳を見ていきましょう。
取引例
【8/22に原料Aを3500円で仕入れて、その代金を銀行振込(普通預金口座)で支払った】
では先ほどと同様、「原因」と「結果」に分けてみましょう。
取引例
【8/22に原料Aを3500円で仕入れて、その代金を銀行振込(普通預金口座)で支払った】
- (原因:何をして) ⇒原料Aを仕入れた
- (結果:どうなった) ⇒代金(3500円)を銀行振込で支払った
先程の取引とはただ単に代金の支払い手段が現金から銀行振込に変わっただけです。
ということで先ほどの仕訳の「現金」のところを変えれば良いだけです。
普通預金口座から振り込んだのであれば「普通預金」になります。こちらも受け取り/支払いに関わらず、同じ勘定科目になります。
日付 | 借 方 | 貸 方 |
8 / 22 | 現 金 3500円 ( 結果 ) |
普通預金 3500円 |
摘要:原料Aの仕入れ |
「仕入」はいつ計上する?
「仕入」も計上するタイミングが業種によって異なります。
基本的には物品(原料)を入荷した日に計上する「入荷基準」か、物品(原料)を検品した日に計上する「検収基準」のいずれかになります。
この場合でも同じ基準で統一しておくことが望ましいです。
問題で力を付けよう!
では今回も問題を作ってみました。復習をかねて仕訳の練習をしてみてください。
問題1
取引例
【3/15に販売目的の商品Aを購入した。その際の代金2400円は現金で支払った。】
下記に仕訳をしてみてください。
日付 | 借 方 | 貸 方 |
/ | ||
摘要: |
今回も、この取引を「原因」と「結果」の2つの側面に一旦分けます。
原因(何をして) ⇒「 」
結果(どうなった) ⇒「 」
売る目的で購入したものは「仕入れ」と同じです。仕入れ時の勘定科目は何で、それは借方と貸方どちらに書くのでしょう?
そして代金は何で支払って、その場合何という勘定科目を使ったのでしょう?
ということで、答えは次のようになります。
日付 | 借 方 | 貸 方 |
3 / 15 | 仕 入 2400円 | 現 金 2400円 |
摘要:商品Aの仕入れ |
問題2
では今度は下記の仕訳からどういう取引になったかを考えてみましょう。
日付 | 借 方 | 貸 方 |
8 / 19 | 仕 入 66000円 | 普通預金 66000円 |
摘要:原料Aの仕入れ |
まずは仕入が借方に書かれているので、事業に必要なものを仕入れたんだなと想像できます。
そこで摘要欄を見ると、「原料Aの仕入れ」と書かれているので、原料を加工して新たな商品を作っている事業だとわかります。
貸方には「普通預金」と書かれているので、代金の支払いは銀行振込からだったんだなとわかります。
ということで、答えは次のようになります。
回答例
【8/19に原料Aを仕入れた。その際の代金66000円は銀行振込で支払った。】
まとめ
ではまとめです。
- 販売する商品、あるいはその原料を仕入れたら無条件に「仕入(仕入高)」を借方(左側に)書く!
- 残りの貸方(右側)には、仕入れたモノの支払い手段を書く!
売り上げと仕入れは逆の行為なので、「売上」か「仕入」の取引を暗記しておくと、その逆に勘定科目を持っていけばよいだけです。
それでは次回は「経費」の仕訳について見ていきましょう!